古き「都」に人情温泉 神戸・平野


 日帰り温泉で温泉が恋しい季節になった。神戸の市街地に「掛け流し温泉がある」と聞いて訪ねた。兵庫区の平野地区。旧街道を山手に向かって歩いてゆくと、川沿いに「湊山(みなとやま)温泉」があった。
 深く長い浴槽で、頭にタオルを巻いた年配の男性が目を閉じていた。洗い場に笑い声がこだまする。「わし、いま来たとこやねん。もう1回入りいな」。湯から上がろうとする人が、そんな声に引き留められる。話も入浴も、つい長くなる。

 入浴料は大人(中学生以上)500円。白濁した薄茶色の湯は神経痛などに効くという。福原遷都を目指し、この地に移った平清盛も入ったという由緒ある湯だ。

朝日新聞 - 2006/11/25