カメラのキタムラ560店舗ブログ効果とさらなる活性化案

 企業のブログ活用を考えると,本来,大企業の方が有利な場合も多いはずです。なにしろ,全事業所,全部門,全社員でブログを毎日書いたら,その情報発信量は圧倒的です。検索エンジン対策には更新の頻度や量が重要になる(関連記事「RFMを極めたブログが検索エンジンに勝つ」)という観点からも,全社員によるブログ更新は大変効果的なのです。

 しかし,多くの大企業経営者や広報担当者は,社員に好き勝手にブログを書かせることにリスクを感じているようで,まだ踏み切れていないようです。

 そんな中,カメラのキタムラでは560店舗の各店にひとつずつブログを用意して,積極的な情報発信を続けています。そこで,そのブログ効果を検証しつつ,同社のチャレンジ精神にエールを送る意味でさらなる活性化案を考えてみます

店舗ブログは,商品や店舗の写真もうまく使い,色違いテキストも多用した読みやすい記事が大半です。

 おそらく本部からも,記事の元になる画像やテキストを提供しているのでしょう。しかし,その影響もあってか,チラシの延長線上にある商品情報ばかりなのが少し残念です。

 ネットで情報を積極的に集めるお客様方は,写真用品のみならず,写真を撮る楽しさや経験も合わせて提供しなければ,感動してくださいません。それこそ,カカクコム的な価格競争の世界に巻き込まれてしまいます。

 ハーレーダビッドソンのバイクに乗る愛好家が,旅行を楽しみながら全国のハーレーショップを回って結束感を強め,ブロンドロイヤリティを高めているように,カメラのキタムラも写真愛好家のいわば巡礼の拠点になる必要があると考えます。

 おそらく,同社の経営陣もそれを考えて,店舗ブログの共通メニューに「撮影会・教室」「中古カメラ」「写真展」「地域情報」などを入れたのでしょう。しかし,そこに情報がひとつもない店舗も目立つなど,今ひとつ活性化されていません。

 2007年問題は,裏返せば同社にとってはチャンスです。被写体を求めて全国をわたり歩くシニアが,観光案内所や交流サロン代わりにカメラのキタムラを訪ねたくなるような仕組みを,ブログ連動で考えれば良いのです。

 各店舗の周辺で最も美しく写真が撮影できる「秘密のおすすめスポット」や,そのお手本となるお客様の作品の額装やファイルを,店舗の一角で紹介するだけでも効果があるはずです。合わせて,こうした地域情報やお客様作品の一部を各店の店舗ブログで公開していけば,「撮影旅行のスタートは,まずカメラのキタムラのブログと店舗から」と思っていただけるかもしれません。

 一歩進めて,店舗発-店舗解散のご当地撮影ツアーを企画しても良いでしょう。こうしたミニオフ会では,もちろん,地元の人しか知らない「とっておきの美味しいお店」での食事や,日帰り温泉での乾杯を盛り込みます。何しろ,こうした小旅行やオフ会の情報ほどブログで盛り上がって,相互にコメントやトラックバックの縁が広がることはないのです。

 ぜひとも,ブログ道の「ブログ三分法」に習って,商品販売情報1/3,ご当地撮影お役立ち情報1/3,ご当地飲み食い風呂宿泊情報1/3で,バランスよく発信していただきたいものです(関連記事)。そうすれば,ブログ効果で,オン・オフ問わず「カメラのキタムラ愛好コミュニティ」が育っていくでしょう。

ITpro - 2007年1月16日