水面彩る願いの船 城崎温泉


 旧暦の桃の節句に合わせた行事「城崎温泉流しびな」が一日、豊岡市城崎町の温泉街を流れる大谿(おおたに)川であった。和紙製のひな人形と、願い事を書いた短冊を載せた約千の舟が水面を彩った。

 子どもを災難から守り、幸せや成長を祈る。大谿川の美化運動に取り組む城崎町商工会が主催。川を活用して観光客と地元住民の交流を図ろうと、四年前から始めた。

 四所神社の宮司が願い事の成就を祈願した後、地元の子どもたちや観光客らが、交代でそっと川に浮かべた。豊岡市日高町堀の奥陽子さん(35)は、娘の夏生(なつき)ちゃん(3つ)、瑞生(みずき)ちゃん(2つ)が元気で優しい子に育つように、との願いを託した。「わが家の恒例行事。おかげで順調に成長してくれています」と笑顔だった。

 舟は下流で回収され、古いひな人形とともに四所神社で焼かれた。(幾野慶子)

神戸新聞 - 2007年4月1日