野沢温泉の「道祖神祭り」

野沢温泉で小正月の行事「道祖神祭り」が1月15日の夜に行われ、ブナの神木を組み上げた高さ約7メートルの社殿から噴き上がった火柱が、集まった約5000人の観客を赤々と照らしました。

ちなみに野沢温泉は、聖武天皇の頃(724~748年)にこの地を訪れた行基であるという説と、修行中の山伏が見つけたという説と手負の熊の後をつけた猟師が見つけたという説があります。かなり古くから野沢の地に湯が湧いていたのです。野沢温泉には、村内に30余りの源泉があり、外湯と呼ばれる無料の共同浴場が温泉街に13ヵ所あります。

野沢温泉の道祖神祭りは、横落のさかきや旅館の前庭と寺湯の河原の2カ所で行われていて、「上のどうろく神」と「下のどうろく神」といっていました。大正元年に火災予防のため「人家から離れること百間以上たること」というお達しがあり、上下の組が一緒になって道祖神祭りを行うことになりましたので、場所を上組の片桐家所有地の馬場ノ原に移し、火元は寺湯の河野家から出すことになったのです。行事の内容は、以前の様式のまま執り行うようになり、競技的・美的・全村一致の協力の信仰的要素はますます盛大になって近郷にない卓越した民俗行事となっています。数え年で42歳と25歳の厄年に当たる男衆計55人が社殿の守り手として陣取ると、攻め手の村民たちが、たいまつを持って火をつけようと突進します。約1時間にわたって、体をぶつけ合った。最後は、家内安全や子宝を祈願し、守り手と攻め手の双方が社殿に火を放ちます。

野沢温泉の道祖神祭りは、日本を代表する道祖神行事の一つとして平成5年12月13日に国の重要無形民俗文化財に指定されました。