高知市の龍馬観光グループ 皆生の老舗旅館取得

 ビジネスホテル業などの龍馬観光グループ(高知市廿代町、森崎頼次会長)はこのほど、経営破たんしていた鳥取県米子市皆生温泉の老舗旅館「ひさご家」を取得した。名称を変更し内装などをリニューアル、来春ごろの新装オープンを目指している。

 龍馬観光グループは貸しビル、カラオケ店経営のほか、平成11年に「ホテルNo.1高知」をオープン。これまでに高松や松山でも同ホテルを展開しているが、四国外への進出と旅館の再生事業はともに初めて。

 「ひさご家」は、明治36年に日本料理店として島根県で創業し、昭和28年から皆生温泉で旅館経営を開始。陶芸家、河井寛次郎ゆかりの宿としても知られるが、皆生温泉全体の集客力が低下する中で、今年5月に経営会社の銀行取引停止が表面化。10月に実施された競売で龍馬観光グループが落札した。

 龍馬観光グループによると、約1万平方メートルと広大な日本庭園や上質な客室などに森崎会長が感動。複数ある客室棟など既存施設はほぼそのまま活用する予定。寛次郎が設計にかかわったという玄関部の建物は当初取り壊しを検討していたが、地元の強い保存要望を受け入れ撤回した。一方で、隣接する約1000平方メートルの土地を追加で買い取り、そちらに別館的なビルも建設する計画という。

 別館は「No.1」と同様に1泊4900円からと低価格に設定。既存の客室も従来の2万5000?5万円より大幅に価格を下げる方針で、森崎会長は「素晴らしい景色などを多くの人に気軽に味わってもらい、地元米子市にも貢献できれば」と話している。


高知新聞 - 2006/11/14