大雪対策 今年は大丈夫? 秋田

死者を出した秋田県をはじめ、山形県や青森県でも多数の死傷者を出した「平成18年豪雪」。例年は雪の少ない平野部や沿岸部でも多くの積雪があったため、死傷者の増加のほかにも雪置き場の不足や高齢者世帯の除排雪などさまざまな課題が表面化した。秋田県や山形県を中心に大雪に対する基本計画が見直されたが、今年の雪対策は大丈夫か?(大坪玲央)
 秋田県では、例年では雪の少ない、人口の集中する秋田市近郊など沿岸部で大雪となったため除排雪が追いつかず、運休や遅延といった市民生活を直撃する影響が出たほか、平地でも大雪だったため、普段雪下ろしに慣れていない高齢者を中心に、屋根から落ちた雪に押しつぶされるなどして過去最悪の死者24人を出すなど人的被害も甚大だった。
運休がなかった秋田新幹線が2度運休したり、仙北市の鶴の湯温泉では死傷者が出るなど災害も発生した。
山形県でも庄内町で猛烈な吹雪を伴う突風により、JR羽越線で死者を出した脱線事故が起きるなどの大事故が発生したほか、村山地域を雪下ろし作業中に屋根から落下するなど過去最悪の死傷者を記録した。
秋田県では、中でも被害の大きかった秋田市が今年度から安全安心対策推進本部を設置した。
除排雪の計画では、▽これまであいまいだった除雪車の出動基準を降雪量10センチと定め、雪が固まらないうちに雪寄せを▽旧秋田空港跡地などを雪捨て場として積雪量に応じて開放。
破損が問題化した公園への排雪は、積雪量に応じて業者などに限定して開放する▽除雪車両にGPSをつけて位置情報をインターネット上で公開し除雪車が来ない不安を和らげる?などを定めた。総合雪害対策連絡会議を6月から11月までに▽国・県・市町村で連携した雪害対策▽県と市町村の管理区分にとらわれない効率的な除雪の実施▽雪捨て場の位置や情報を国・県・市町村でデータベースをつくり共有する▽国から市町村へ気象情報を提供する?などを定めた。
計画では、雪害対策を実施してきた山形県だけに除雪などの「克雪」だけでなく、雪を保存しておいて夏季に冷房に利用するなど定められている。
業者による雪下ろしの料金設定や、除雪経験に応じて手伝ってもらう範囲を決めるなど除雪ボランティアのためのルール作りなどに取り組んでいる。県で死者や重軽傷者が多数出たが、中でも秋田県と山形県で前年度に比べて被災者の増加が見られた。
豪雪となった青森県では、死者は福島県では死者3人、岩手県では死者2人となった。
山形県でも、あまり雪の降らない山形市などの平地で雪が多く降り、雪下ろしになれ地域でけが人が増えた。
産経新聞 - 2006年12月3日